研究課題/領域番号 |
11671637
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
遠藤 俊明 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (90213595)
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研究分担者 |
西川 鑑 札幌医科大学, 医学部, 助手 (70295351)
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キーワード | PCOS / OHSS / MMP / Lysyl oxidase / VEGF / prostaglandin F_<2α> receptor |
研究概要 |
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は排卵障害の原因疾患としてもっとも重要な疾患の一つである。われわれはその排卵障害のメカニズム研究のたま、Leeらのラットモデルを利用した。これは、幼若雌ラットにdehydroepiandrosterone(DHEA)を15日間連続注射し卵巣を多嚢胞性卵巣{PCO}にするものである。この卵巣を採取しまず卵胞壁のコラーゲンを分解し排卵へと導く酵素の一つであるmatrixmetalloproteinase(MMP)の発現をcontrolと比較した。またコラーゲンを強固にするLysyloxidaseの発現もcontrolと比較した。結果はMMP-2の発現はmRNA、タンパク、gelatinase活性の全てが、controlと比較して発現が減弱していた。逆にLysyloxidaseの発現はcontrolと比較して有意に増強していた。さらに、排卵機構への関与報告されているprostaglandinF_<2α>(PGF_<2α>)のレセプター発現がmRNAレベルで有意に減少していた。以上より、このモデルからDHEA処理、つまり男性ホルモンがたかい状態が続くと、卵胞壁自体が強固になり、その卵胞壁を溶かすタンパク分解酵素活性が弱くなることがあいまって、排卵障害を引き起こすことが考えられた。また、これにPGF_<2α>の作用が抑えられることも排卵障害をさらに助長しているものと思われた。 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のモデルはUjiokaらの方法に準じてPMSGを4カ間連日投与し、それにhCGを投与する方法で作成した。このモデルの卵巣ではcontrolに比べて有意にvascular endothelial growth factor(VEGF)とそのレセプターであるFlt-1とKDRの発現が有意に増強していた。つまり、これは血管透過性亢進の準備状態ができているという事ができる。この発現を抑制できれば、OHSSの発生母地を抑える事になり、OHSSの有効な治療となりえる。そこでわれわれは、PMSG開始と同時にgonadotropin releasing hormone agonist(GnRHa)を併用したところ、有意にVEGF、Flt-1、KDR発現がmRNAレベルで抑制されたいた。この事は、ヒトでもGnRHaの投与法を工夫する事によってOHSS発生を予防できる可能性示唆するデータで、これを患者の同意を得て臨床応用しているところである。
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