1.インフォームドコンセントにより得られた妊娠2〜3ヶ月の胎盤および同妊婦の末梢血より、脱落膜および末梢血単核球を分離し、これら単核球とclass I欠損株.221細胞あるいはHLA-G遺伝子を導入した.221-G1細胞と共培養することにより、これら単核球のサイトカイン分泌におよぼすHLA-Gの影響を調べた。HLA-Gの発現によりTh1型サイトカインのIFNγおよびTNFαは低下傾向を示し、Th2型のIL4およびIL10は上昇傾向を示した。すなわち、胎盤においてトロフォブラストがHLA-Gを発現していることの意義の一つは母体脱落膜免疫細胞に胎盤保護に働くサイトカインを分泌させることにあることを示唆している。この脱落膜にある鎖御在するNK細胞のクローン化を試みたが現時点ではできていない。この研究においてはサイトカイン測定等の試薬が非常に高価で、おおくの研究費が使用され、超低温フリーザーを購入し得なかった。今後はサイトカインのmRNAの半定量をする方法も併用してゆく予定である。 2.各種HLAのシグナルペプチド由来のペプチドを取り込ませたHLA-E発現細胞は発現の安定性が悪く、現在検討中である。 3.この度、HLA-Fに対するモノクロナル抗体の作製にも成功し、HLA-Fの発現部位について検討中である。今後、これら3種のclass Ib抗原の相互作用についても調べて行く。
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