研究課題/領域番号 |
11671645
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
大和田 倫孝 自治医科大学, 医学部, 助教授 (40203955)
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研究分担者 |
小澤 敬也 自治医科大学, 医学部, 教授 (30137707)
小林 浩 浜松医科大学, 医学部, 講師 (40178330)
鈴木 光明 自治医科大学, 医学部, 教授 (50110870)
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キーワード | 卵巣癌 / 腹膜播種 / 遺伝子導入 / NK4 / UTI |
研究概要 |
癌細胞の根絶ではなく、転移、浸潤巣の増大を抑制する治療(tumor dormancy therapy)の確立を目指し、hepatocyte growth factor(HGF)のantagonistであるNK4、およびurinary trypsin inhibitor(UTI)を対象に、これらの転移、浸潤抑制作用をin vitro、in vivoで検討した。卵巣癌腹膜播種モデルとして、卵巣癌細胞株HRA、SHIN-3を用いた。NK4発現ベクター(pCMV-NK4-IRES-bsr)およびUTI発現ベクター(pCMV-UTI-IRES-bsr)を作製し、それぞれの細胞株に遺伝子導入を行った。その結果、NK4導入HRA細胞(HRA/NK4)では培養液中へのNK4の分泌が確認された。HRA/NK4はin vitroおよびin vivoにおいて、増殖能の亢進は認められなかった。しかしながらin vitroのscrach wound healing assayにより、コントロール(HRA/LUC)に比べ遊走能の有意な低下が認められた(p<0.01)。in vivoのヌードマウスでの検討では、HRA/NK4接種群ではHRA/LUC群に比べ腹膜播種は抑制され、マウスの生存期間の有意な延長が確認された(p<0.01)。UTI導入HRA細胞(HRA/UTI)における検討でも、HRA/NK4と同様にコントロール(HRA/IUC)に比べ遊走能、浸潤能の著明な抑制がみられ、また腹水産生の抑制も認められた。以上の結果から、NK4およびUTIは卵巣癌の腹膜播種を抑制する作用のあることが確認された。今後はNK4、UTIのウイルスベクターへの導入をはかり、これらを用いた卵巣癌遺伝子治療への臨床応用を目指したい。 de novoのDNA合成のkey enzymeであり、癌の生物学的悪性度の指標とされているthymidylate synthase(TS)についても同様の方法で、TScDNAを子宮頚癌細胞に導入し、TS強発現株(SKG-II/TS)の作製に成功した。preliminaryの検討によりSKG-II/TSはコントロール(SKG-II/LUC)に比べ放射線感受性が低下していることが確認された。今後TS発現が放射線感受性の低下を来たす機序について検討する予定である。
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