研究概要 |
アラキドン酸からのprostaglandin産生の律速酵素の一つであるcyclooxygenase(prostaglandin endoperoxide synthase:PGS)の中でもPGS-2は炎症反応の際に増加し、cytokineの一つであるinterleukin-1(IL-1)による調節をうけ、排卵過程においてもPGS-2が上昇しその関連性が示唆されている。そこで排卵機構の一側面の解明として卵胞発育調節機構並びに卵胞閉鎖あるいはapoptosis機序を明らかにするために、まず卵巣内IL-1 systemの排卵における意義を検討した。 1)In vivo experiment:25日齢雌性SDラットにPMSG-hCG投与を行った結果、hCG投与後8〜12時間といった排卵期に一致してPGS-2mRNAは急激に一過性に上昇した。しかしPGS-1mRNAはcontrolと比較し有意差は認められなかった。In situ hybridizationにより排卵期のPGS-2mRNAは主として顆粒膜細胞層に存在が認められた。 2)ラット卵巣細胞培養:培養系にIL-1β、IL-1RA(receptor antagonist)添加し、Solution hybridization/RNase protection assayおよびWestern blot解析にてPGS-2mRNA,protein,培養上清中のPGE2はRIAにて検討された。IL-1βはPGS-2mRNA、protein発現を有意に促進したが、その作用はIL-1RAにより完全に抑制された。またPGF2もIL-1βによって増加し、IL-1RA添加によって減少した。 他の成長因子としてIGF-1,activin-A,ET-1,TGFαの投与はPGS-2 transcriptsに何ら影響を及ぼさなかった。
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