cytokineの一つであるinterleukin-1(IL-1)は炎症反応の際に増加するが、排卵過程においてもIL-1が上昇し、その関連性が示唆されている。そこで排卵機構の一側面の解明として卵胞発育調節機構並びに卵胞閉鎖あるいはapoptosis機序を明らかにするために、卵巣内IL-1systemの排卵における意義を検討し、血管増殖及び透過性作用を有するVascular Endothelial Growth Factor(VEGF)の卵巣内における作用を検討した。 1)In vivo experiment:25日齢雌性SDラットにPMSG-hCG投与を行った結果、卵巣内VEGFmRNAはhCG投与後2〜10時間まで有意に増加した。排卵はhCG投与から約12時間後に予測されVEGFmRNAは排卵前までに一過性の上昇が認められた。 2)ラット卵巣細胞培養:培養系にIL-1β、IL-1RA(receptor antagonist)を添加し、Northern Blot AnalysisにてVEGFmRNAの変化を検討した。IL-1βはVEGFmRNA発現を促進し、その作用はIL-1受容体を介し、用量ならびに時間依存性が認められた。またEGF、bFGFはVEGFmRNAをIL-1βと同様に有意な増加をさせたが(P<0.05)、IGF-1、TNFα、ET-1、HGF、VEGFといった他の卵巣促進因子は何ら影響を及ぼさなかった。培養穎粒膜細胞におけるprogesterone産生にVEGFは何ら影響を及ぼさなかった。 以上のことから卵巣内VEGFはIL-1と同様に排卵過程の重要な因子である可能性が示唆された。
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