cytokineの一つであるinterleukin-1 (IL-1)は炎症反応の際に増加するが、排卵過程においてもIL-1が上昇し、その関連性が示唆されている。そこで排卵機構の一側面の解明として卵胞発育調節機構並びに卵胞閉鎖あるいはapoptosis機序を明らかにするために、卵巣内IL-1 systemの排卵における意義を検討し、apoptosisマーカーでもあるIL-1 β converting enzyme (ICE)、血管増殖及び透過性作用を有するVascular Endothelial Growth Factor (VEGF)、IL-1と同様に炎症反応の際に増加しIL-1による促進作用を有するinterleukin-6 (IL-6)の卵巣内における作用を検討した。1)In vivo experiment:25日齢雌性SDラットにPMSG-hCG投与を行った結果、排卵はhCG投与から約12時間後に予測され、排卵期に一致してPGS-2 mRNAは急激に一過性に上昇、卵巣内ICE mRNAはhCG投与後6〜24時間まで増加し、48時間後には前値へと有意に減少、卵巣内VEGF mRNAはhCG投与後2〜10時間まで有意に増加し、卵巣内IL-6 mRNAはhCG投与後4時間で有意に増加した。2)ラット卵巣細胞培養:培養系にIL-1 β、IL-1RA(receptor antagonist)を添加し、RNase Protection AssayおよびRT-PCRにてPGS-2、ICE、VEGF、IL-6 mRNAの変化を検討した。IL-1 βはそれぞれのmRNA発現を促進し、その作用はIL-1受容体を介し、用量ならびに時間依存性が認められた。以上のことから卵巣内ICE、VEGF、IL-6はIL-1と同様に排卵過程の重要な因子である可能性が示唆された。
|