研究課題/領域番号 |
11671653
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
杉 俊隆 東海大学, 医学部, 助手 (70196707)
|
研究分担者 |
内田 能安 東海大学, 医学部, 助手 (50307287)
勝沼 潤子 東海大学, 医学部, 助手 (20276843)
|
キーワード | 抗リン脂質抗体 / キニノーゲン / 不育症 / 血栓 / 血小板凝集能 / フォスファチジルエタノールアミン |
研究概要 |
抗リン脂質抗体は、不育症、血栓症の原因となると考えられており、その治療として抗血小板療法である低用量アスピリン療法が広く行われているが、その血小板に対する病原性に関しては今だ不明な点も多い。抗リン脂質抗体がin vitroで血小板凝集能を亢進させることは既に報告されているが、従来のaggregometerでは感度が悪く、in vitroの変化を捉えることが困難であった。今回我々は、インフォームド・コンセントのもとでレーザー散乱粒子計測法(PA-20、KOWA)を用いて不育症患者の血小板凝集能を検討した。レーザー散乱粒子計測法は、フローサイトメーターに応用されている方法であり、従来のaggregometerの100倍感度がよいとされている。攪拌のみで生じる血小板の自然凝集を従来のaggregometerで検出する事はまれであるが、本方法により多くの不育症患者に自然凝集が見出された。我々は、116人の不育症患者に対してレーザー散乱粒子計測法を施行し、抗リン脂質抗体との関係を検討した。116人中、自然凝集を認めたのは37人(31.9%)、認めなかったのは79人(68.1%)であった。自然凝集を認めた37人中、抗リン脂質抗体は29人(78.4%)に陽性であったのに対し、自然凝集を認めなかった79人では40人(50.6%)が陽性であった。また、抗リン脂質抗体陽性患者69人中29人(42.0%)に自然凝集を認めたのに対し、陰性患者47人中8人(17.0%)に自然凝集を認めた。なお、正常対照群28人中3人(10.7%)に自然凝集を認めた。抗リン脂質抗体と自然凝集の関連を検討したところ、統計学的に有意(p=0.0046)であった。抗リン脂質抗体陽性不育症患者の血小板凝集能はin vivoでも亢進している傾向が示唆された。
|