研究概要 |
(1) 平成11年度は、HPLCで子宮体癌のconditioned medium(CM)を分離し、十数個の分画を得た。各々の分面を、HL-60細胞に添加しそのmacrophage分化作用を検討し、またそのthymidine phosphorylase(TP) mRNA発現をRT-PCR法にて検討し、そのうちからmacrophage TP inducing factor(MTPIF)としての生物活性を有すると推測される数個の分画を検出した。 (2) 数個の分画について、(i)endothelial cell assay,(ii)cornral neovascularization assay(Polverini,P.J.,et al.Methods Enzymol.198:440-450,1991)にてendothelial cell migration活性およびin vivoの血管新生作用を検討した。その結果MTPIF活性を有する2分画が、強いmigration活性および血管新生作用を有することを見い出し、この2分画中に血管新生作用を有するMTPIFが含まれる可能性が示唆された。 (3) 次にこの2分画が実際に子宮体癌細胞の血管新生を誘導するかどうかを、(i)熱処理(70℃)、または非熱処理の2分画を各々添加した培養液中で前培養(48時間)した低転移性子宮体癌細胞をnude miceに皮下接種し、腫瘍内の血管数を対照群(無治療群)およびvascular endothelial growth factor(VEGF)治療群と比較検討した。(ii)低転移性子宮体癌細胞をnude miceに皮下接種し、腫瘍形成後腫瘍内に熱処理(70℃)、または非熱処理の2分画を各々1週間局注し、腫瘍内の血管数を対照群(CM治療群)およびVEGF治療群と比較検討した。現在、実験(i),(ii)において腫瘍内の血管数の計測を病理学的に行っており、比較分析予定である。
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