本年度は妊娠130日のウエスタン種ヒツジ慢性実験モデルを用い以下の実験を行った。 (1)、5分間の臍帯血流遮断、30分間の解放を4回繰り返した。 (2)、コントロール、臍帯血流遮断中と遮断解放後1時間、2時間、24時間後に左心室血中ガスおよびpH、アデノシン、5'-nucleotidase活性を測定した。 (3)、左心室血中アデノシン濃度はコントロールにおいて0.92±0.14μmol/L、臍帯圧迫直後には1.92±0.45μmol/Lに上昇した。4回目の繰り返し臍帯遮断終了後1時間後には1.18±0.23μmol/Lと漸減し、24時間後には回復した。また5'-nucleotidase活性も血中アデノシン濃度と同様の変化を示した。 以上より、繰り返し臍帯遮断モデルにおいて、虚血・再潅流ストレスに対して胎仔心筋のアデノシン産生が変化し、子宮内虚血ストレスに対する胎仔心筋の虚血耐性獲得に関与している可能性が示唆された。
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