研究概要 |
我々はこれまで胎仔視床下部におけるCRF,及びCRFレセプター1型のmRNA発現様式を検討してきた.すなわちラット胎仔脳では妊娠日齢15日目よりCRFmRNAは視床下部室傍核に限局,CRF-RmRNAは大脳皮質などにひろく発現しており,その発現様式が成獣のそれとかわらないことを見いだした.さらに成獣では視床下部室傍核におけるCRFレセプター1型mRNAの発現がLipopolysaccharide(LPS)負荷に対してup regulationが認められるが、胎仔においてはその変化が認められないことなどを明らかにしてきた。 本年度はウィスターラット胎仔視床下部におけるiNOSおよびnNOSのmRNA発現を検討する目的で,まずiNOS及びnNOSmRNAに対して^<35>Sで標識したantisenseRNAプローブを作製した。妊娠21日の母獣を断頭し帝王切開にて胎仔をとりだし、LPSまたは生理的食塩水を腹腔内投与(400μg/100g体重)した。37℃、湿度100%のチャンバー内で保育後、6時間後にラットを断頭し脳を摘出、固定・凍結切片作製後nNOS,iNOSに対するin situ hybridization法を実施した。nNOSは視床下部室傍核にmRNA発現が認められたが、iNOSでは認められなかった。LPSに対しては、nNOSの発現は増加しなかった。今回の検討ではiNOSは十分な発現を認めなかったが,その原因としてiNOSのプローブの問題が否定できない.今後、iNOSのさらに良質なプローブの開発を進め,LPSに対する反応性を検討していく予定である。
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