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研究結果
癌細胞の生化学的分析
異なる組織型を有する卵巣癌培養細胞株を生化学的かつ免疫学的に分析した結果、組織型の差により特徴ある糖脂質が含まれること、さらには腫瘍の癌化に伴い糖脂質が変化する事実などが認められた。特に粘液性腫瘍においては、組織中に含まれる酸性糖脂質の90%以上がスルファチドであり、一方他の組織型におけるスルファチドは40%以下であった。さらに詳しい分析により、粘液性腫瘍に特異的に発現するスルファチドはN-cerebronoyl phytosphingosineを含むI^3SO_3-GalCerと判明し、一方その他の腫瘍におけるスルファチドはN-non-hydroxy fatty acylsphingosineを伴ったI^3SO_3-GalCerであることが判明した。また、Le^a及びLe^b抗体に対する反応は粘液性癌において強陽性を示した。
卵巣癌腹膜高転移モデルを用いた高転移能の獲得に対する生化学的解析
当研究室で樹立した表層上皮由来卵巣癌を中心とした数種の細胞株についてその細胞表面糖鎖を解析した。次に各細胞株の転移脳をヌードマウス腹腔内に細胞を接種して評価すると共に、繰り返し移植することにより高転移性の細胞を選択した。さらに、得られた細胞株(RMG-I)の表面糖鎖について抗Lewis^xモノクローナル抗体を用いたFlow Cytometry及びTLC-Immunostainingによる分析を行った。その結果、高転移細胞においてはLewis^xが増加しており、その高発現はステアリン酸を含む糖脂質が増加した結果であることが判明した。
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