研究課題/領域番号 |
11671672
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 光也 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (50302724)
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研究分担者 |
加我 君孝 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (80082238)
山岨 達也 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (60251302)
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キーワード | 血液―内耳関門 / 前庭迷路 / 発達 / 透過型電子顕微鏡 / Polythyleneimine / Vesicular transport / ラット |
研究概要 |
蝸牛および半規管膨大部の血液-内耳関門の発達を調べる目的で、内耳毛細血管の内皮細胞内のvesicular transportの変化を観察した。Vesicular transportの変化を形態学的に観察するため、陽性荷電物質であるpolyethyleneimineをトレーサーとして用いた。ネンブタール腹腔内投与による全身麻酔下に、生後1日目から3週間目のラットおよび成熟ラットの大腿静脈により0.1%polyethyleneimine(PEI)溶液を投与した。1時間大気中に放置した後、2%glutaraldehyde と1%phosphotangstic acid溶液にて還流固定を行った。蝸牛および半規管膨大部をエポン包埋した後、H800型透過型電子顕微鏡にて基底膜上のPEI粒子の分布を観察した。それぞれの未発達ラットと成熟ラットにおける毛細血管基底膜上のPEI粒子の分布は、血管条、ラセン靭帯、半規管膨大部において比較された。成熟ラットの毛細血管基底膜にはPEI粒子はほとんど認められなかった。このことは、成熟ラットの内耳毛細血管には選択的透過性が存在することを示唆している。未発達ラットにおける毛細血管基底膜のPEI粒子の分布は、血管条では生後 12-14日、ラセン靭帯では生後7-11日、半規管膨大部では生後4-7日で成熟ラットのレベルに達した。この結果より、ラットの血液―内耳関門は、少なくとも生後14日目までは完成しないこと、また蝸牛と前庭迷路の間で、血液―内耳関門の発達が異なることが示唆された。次の段階としては、感覚上皮下の基底膜上に存在するPEI粒子の変化についても観察する。
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