IgE産生はIL-4とCD40Ligandの2つのシグナルによってB細胞から誘導され、IFN-γやIL-12にて抑制的に働くことが証明されている。われわれは、結核菌由来DNA:MY-1が、内因性IFN-γとIL-12を強く誘導し、IgE産生を抑制することを見いだした。MY-1自身はヒト末梢単核球に対して細胞毒性を示さず、細胞生存率や細胞増殖率には影響を及ぼさなかった。MY-1はIgEへのクラススイッチ誘導を抑制するが、スイッチしてしまったB細胞よりのIgE産生は抑制できなかった。 次に、より高率にIgE産生を抑制する目的で、MY-1を断片化しもっともIgE産生を抑制する塩基配列を求めることとした。すでに、MY-1のIFNγ誘導における活性部位はパリインドローム構造を中心に持つ30塩基であり、パリインドローム構造の前半3塩基のバリエーション、すなわち計64(4x4x4)種類の塩基対のなかでも10種類にて著しくIFNγ産生が起こることが判明していた。そこでその10種類と増強しなかった1種類の計11種類でIgE産生を検討した。その中でCGTACGを含む塩基はもっとも高い抑制を認めた。そこで、このパリインドローム構造が本当に重要であるのかどうか、4番目の塩基Aを他の塩基に変えてIgE産生を調べてみた。するとCGTTCGの塩基配列がもっともIgE産生を抑制した。抗IFNγ抗体と抗IL-12抗体の添加によって、MY-1と同様に完全にIgE産生抑制を阻止できなかったが、約60-70%のIgE産生抑制を阻止した。すなわちMY-1とこのCGTTCGの30塩基は同様の機序でIgE産生を抑制しているものと考えられた。さらに興味深いことにCpGモチーフには種特異性がありマウスに効果のあるCpGモチーフでは、ヒトB細胞ではあまり反応しなかった。
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