1.障害されたマウス内耳ラセン靭帯における細胞増殖について マウス卵形嚢を硫酸ストレプトマイシンにて障害し、マウスの皮下に浸透圧ポンプを埋め込み、BrdUを持続投与した。障害後、一週間および二週間後のマウス内耳のラセン靭帯における細胞増殖について、免疫組織学的にBrdUを同定することにより検討した。その結果、障害されたマウス内耳ラセン靭帯において、細胞増殖が認められ、これらの反応は、内耳の可塑性に関連しているものと考えられた。 2.内耳への薬物輸送システムに関する動物モデルの作成 モルモットに浸透圧ポンプを埋め込み、内耳への薬物輸送システムの動物モデルを作成した。このモデルは、内耳障害を生じないことを確認した。また、前庭機能および蝸牛機能を測定する方法も開発・検討した。 3.騒音負荷に対するaFGFの障害軽減効果について aFGFを投与したモルモットにおいては、コントロールにくらべて騒音による障害が軽減された。可逆的障害を生ずる程度の騒音負荷においては効果の発現を認めたが、不可逆的な障害を生ずる強大音負荷にたいしては、はっきりとした効果は認めなかった。 4.薬物輸送システムを用いたアミノグリコシド系抗生物質による内耳治療法の開発 動物モデルにおいて、薬物輸送システムを用いた硫酸ストレプトマイシンの投与の効果についてまず検討した。 その後、米国において実際に臨床応用されている薬物輸送システムを用い、メニエール病患者に対し検討を行なった。 この結果、薬物輸送システムは広く臨床応用に用いることができることを検証した。
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