研究課題/領域番号 |
11671689
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
一宮 一成 大分医科大学, 医学部, 助教授 (70223112)
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研究分担者 |
吉田 和秀 大分医科大学, 医学部, 助手 (10305055)
鈴木 正志 大分医科大学, 医学部, 教授 (60211314)
茂木 五郎 大分医科大学, 医学部, 副学長 (20035190)
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キーワード | 内耳 / ラセン靱帯 / 繊維細胞 / 細胞培養 / サイトカイン / 接着分子 / 免疫組織化学 / RT-PCR |
研究概要 |
1)ラセン靱帯線維細胞スフェロイド培養の試み CBA/Jマウスの蝸牛外側壁を無菌的に取り出し培養皿上で継代培養後、細胞をスフェロイド培養用プレートに播種、三次元的に培養を行った。培養された細胞は、免疫染色ではcaldesmonおよびS-100陽性、Na-K-ATPaseおよびcytokeratin陰性で、ラセン靱帯I型線維細胞と考えられた。Connexin26も陽性で、ギャップ結合タンパクの発現が示唆されたが、電子顕微鏡下に細胞間のギャップ結合を確認することはできなかった。 スフェロイド培養細胞をTNF-αで刺激すると、培養上清中のIL-6、MCP-1、KC、MIP-2、sICAM-1、VEGFは濃度依存性に上昇した。 2)ラセン靱帯線維細胞における接着分子の発現 スライドガラス上で培養した細胞をIL-1βまたはTNF-αで刺激後、接着分子のICAM-1、VCAM-1、MAdCAM-1について免疫染色を行った。無刺激の細胞では、いずれの接着分子も染色されなかった。IL-1β刺激後の培養細胞も同様に染色を認めなかった。しかしTNF-αで刺激した細胞は、MAdCAM-1では染色されなかったものの、ICAM-1、VCAM-1の両者で染色された。 TNF-αで刺激した培養細胞におけるICAM-1およびVCAM-1のmRNA発現をRT-PCR法で調べた。無刺激の細胞では、いずれの接着分子の発現も認めなかったが、TNF-αで刺激した細胞ではICAM-1およびVCAM-1遺伝子の発現が確認された。 ラセン靱帯線維細胞からケモカイン等の液性因子が産生、放出され、線維細胞に接着分子が発現することより、ラセン靱帯線維細胞は蝸牛における炎症細胞の動員及び炎症の遷延化に関与すると考えた。
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