研究課題/領域番号 |
11671690
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研究機関 | 宮崎医科大学 |
研究代表者 |
河野 浩万 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (20204745)
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研究分担者 |
春田 厚 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (90201722)
松田 圭二 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (40253835)
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キーワード | 蝸牛 / 神経調節因子 / 分子生物学 / ラセン神経節 / 血管条 / Pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide |
研究概要 |
蝸牛内リンパ液は特異的な環境にあり、その調節機構は蝸牛の機能を維持するうえで非常に重要である。Neuropeptideはその調節因子のひとつとして挙げられる。Pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide(PACAP)は、セクレチン/グルカゴン/vasoactive intestinal polypeptideファミリーに属するneuropeptideで、中枢神経系においてはneurotransmitter、neuromodulatorとして作用している。前年の研究では、RT-PCR法を用いた研究で蝸牛でのPACAP mRNAの発現していることを明らかにした。したがってPACAPが蝸牛においても何らかの役割を担っていると推察することができる。そこで、さらにPACAP mRNA発現の局在を明らかにするために、PACAPのRNA probeを作成し、in situ hybridization法を行った。蝸牛軸においては、陽性反応はラセン神経節細胞に認められた。PACAPは脳神経細胞を用いた実験でグルタミン酸を介した神経伝達を増強させる作用を有することが知られている。グルタミン酸が蝸牛での主要神経伝達物質であることと考え合わせると、PACAPが蝸牛における神経伝達の調節に深く関与している可能性が強く示唆される。また、PACAP mRNAは蝸牛管側壁においては血管条の辺縁細胞にその発現を認めた。辺縁細胞で産生されたPACAPは、内リンパ液中に分泌されていることが予想され、内リンパ液の恒常性に関与していることが示唆される。内リンパ腔に面している細胞がPACAPのターゲット細胞になりえると考えられるが、PACAPの蝸牛での役割をさらに検討するためには、そのレセプターの分布の検討が必要不可欠である。現在までのところ、PACAPのレセプターは3タイプ報告されているが、蝸牛ではRT-PCR法にていずれのタイプもそのmRNAの発現を認めている。
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