研究課題/領域番号 |
11671690
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研究機関 | 宮崎医科大学 |
研究代表者 |
河野 浩万 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (20204745)
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研究分担者 |
春田 厚 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (90201722)
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キーワード | 神経栄養因子 / 血管条 / 神経調節因子 / 蝸牛 / 分子生物学 / ラセン神経節 / Pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide |
研究概要 |
蝸牛内リンパ液の調節機構のひとつとしてNeuropeptideの関与が示唆されてきているが、我々は特にPituitary adenylate cyclase-activating polypeptide(PACAP)に注目してきた。PACAPは、グルタミン酸の介した神経伝達を増強させる作用を有する一方で、グルタミンの興奮毒性による神経障害を抑制する作用を有している。前年度までの研究で蝸牛でPACAPとPACAPレセプターのmRNAの発現していることが明らかになったことからPACAPが蝸牛内でオートクリーン、パラクリーンに作用していることが推察された。蝸牛においてグルタミン酸は主要な神経伝達物質であり、また様々な蝸牛障害にグルタミン酸の興奮毒性が関与していることが示唆されていることから、PACAPが蝸牛におけるグルタミン酸による神経細胞へのさようを調節している可能性が考えられる。そこでまず、グルタミン酸興奮毒性に対するPACAPの保護的作用を検討するために、グルタミン酸アゴニストであるカイニン酸による蝸牛障害モデルの作成を試みた。ラット正円窓膜上に20mMのカイニン酸を30分間作用させると、急激なCAPの低下が観察された。しかし、3日後には回復傾向が認められ、1週間後にはかなりのレベルまで回復した。組織学的には内有毛細胞下の神経終末が選択的に空胞変性している所見が観察されたが、1週間後には正常の形態に戻っていた。この電気生理学的、形態学的な回復減少には何らかの神経栄養因子の関与が示唆される。このモデルを用い、さらに分子生物学的な手法の用いて、グルタミン酸興奮毒性に対するPACAPの作用について検討していく予定である。
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