研究概要 |
本年度は統計学的画像解析法(SPM)を用いて蝸牛電気刺激による側頭葉の賦活部位の検出を試みた。言語習得後高度難聴成人10例について安静時のSPECTデータを得、コントロールとした。人工内耳術前患者6例についてインフォームドコンセントを得た後、蝸牛電気刺激下の脳血流SPECT検査を行った。鼓膜電極を用いてパルス頻度100Hzの電気刺激を快適レベルで2分間与えながら、SPECTデータの収集を行った。SPECT画像解析には,SPM′96 for windowsを用いた.安静時のSPECTデータをコントロールとして,症例毎に電気刺激下のSPECTとグループ間比較(Jackknife検定)を行い,脳賦活部位を検出した.有意レベルは,height:P<0.05でextent:P<0.01とした. 6例中3例に聴覚野を中心とした側頭葉に統計学的に有意な賦活が認めらた。鼓膜の電気刺激という極めて非生理的な刺激でも聴覚野の賦活が検出されることは、大脳生理学的にも興味深い。現時点では側頭葉の賦活程度と自覚的電気聴覚や短期的な人工内耳効果との関係は認められていないが、次年度は症例数を増やして本診断法の臨床的有用性を検討したい。
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