今年度は、全頭型脳磁界計測システムから出力される64チャンネルの脳磁界信号を1msecオーダーのサンプリング時間でサンプルするとともに各チャンネル数sec間のデータをメモリ内に安定に取りこむ系を構成した。さらに正常者の聴覚弁別処理時においては、一般に各単位時間ごと1-5個のダイポールが推定されるが、このような複数ダイポールの推定を客観的に行うために、等磁界線図における最大領域と最小領域との選択の仕方、最小二乗誤差の閾値、発生源の時間的連続性・安定性を評価する基準を設定した。その他、推定位置をMRI画像上へ半自動的に表現するソフトウェア、MRI画像の画像処理ソフトウェア、その他一連の脳磁界処理に関するツール・ソフトウェアなどを作成した。これらの脳磁界計測・解析システムの妥当性については、今年度の基礎実験によって検証された。次年度は、oddball課題遂行時に記録される事象関連脳磁界に対して同システムを用いた計測と解析を行い、正常者の弁別処理に関与する神経回路網の動態とP3の脳内発生源について検討する。
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