喉頭の自律、知覚、運動神経系のすべてにおけるcarbon monoxide(CO)の伝達物質としての関与を、その合成酵素であるheme oxygenase-2(HO-2)に対する抗体を用いた免疫組織化学法によって検索し、以下の結果を得た。実験にはイヌならびにラットを用いた。 1.喉頭の自律神経系におけるCOの関与の究明 喉頭腺細胞の周囲にHO-2陽性線維の分布を認め、喉頭の腺分泌調節にCOが神経伝達物質として関与することが判明した。また、血管周囲にもHO-2陽性線維の分布を認め、喉頭の血流調節にCOが神経伝達物質として関与することが判明した。また、喉頭内副交感神経節細胞の多くのがHO-2陽性であることが明らかになった。これらの細胞から前述の腺や血管への陽性線維が送られると考えられる。 2.喉頭の知覚神経系におけるCOの関与の究明 粘膜上皮内には陽性線維を認めず、この結果は喉頭の知覚神経系にCOが関与しないことを示唆する。 3.喉頭の運動神経系におけるCOの関与の究明 内喉頭筋の筋線維に終末する陽性線維を認めず、この結果は喉頭の運動神経系にCOが関与しないことを示唆する。
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