研究概要 |
大阪市立大学医学部耳鼻咽喉科アレルギー外来で経過を観察中のスギ花粉症をすでに発症した患者群(発症群)、感作は成立しているが発症していない患者群(未発症群)および非アトピー健常人の3群を研究対象として、平成11年度の花粉飛散前各症例より末梢血を採取し、その血清中の総IgE値やスギ特異的IgE値の濃度を測定した。また、各症例より採取・分離した末梢血単核球(PBMC)を無刺激下および抗原(10μg/mLのCry j 1)刺激下で培養し、PBMCにおける各種サイトカイン(IL-4,IL-5,IFN-γ)のmRNAの発現の有無をRT-PCRで検討した。その結果、スギ特異的IgE抗体の絶対値並びに季節性増加率は未発症群と発症群の間に有意差を認めなかった。また、IL-4mRNAの発現率は健常人群<未発症群=発症群で、IFN-γmRNAの発現率は健常人群=未発症群=発症群であった。ところが、IL-5mRNAの発現率は健常人群=未発症群<発症群であった。したがって、スギ抗原刺激によりIL-5が産生されるか否かが感作個体のおける鼻症状発現の有無を規定する重要な因子である可能性が示唆された。
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