マイクロダイアリシス法により蝸牛外リンパ内のグルタミン酸の定量的測定法について検討した。グルタミン酸の定量的測定にはグルタミン酸脱水素酵素(GDH)と補酵素酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)の反応によって生じる還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)の蛍光強度を測定する方法を採用した。この測定法ではグルタミン酸の連続的モニターが可能であり、検出限界は0.5μM程度である。現時点ではこのシステムにより外リンパ内のグルタミン酸濃度の測定は可能であることが判明しているが、微弱な変化についての検出感度に問題があり、検出システムを改良中である。また、蝸牛求心性神経自発放電の同時測定を行うための電極を作成した。現在、外リンパ内グルタミン酸濃度および蝸牛神経自発放電の同時測定実験を行っているが、アミノ配糖体によるの耳鳴モデルでは明らかな外リンパ内グルタミン酸の変化は確認されていない。 さらに、耳鳴に対する遠心性神経の影響を検討する目的で、マイクロダイアリシス法により蝸牛外リンパ内のアセチルコリンの測定を行った。グルタミン酸受容体を刺激するAMPAを投与することにより蝸牛外リンパ内のアセチルコリンの著明な増加が認められ、耳鳴の発生に遠心性神経が関与している可能性が考えられた。
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