研究概要 |
唾液中には種々のたん白,イオン,酵素が含まれているが,Na,K,Ca,H等は各々腺房細胞より分泌、あるいは導管系で分泌・吸収され調節されていることが考えられる。これらの調節異常は唾石の形成や,唾液の酸・アルカリの調節異常を引き起こすと推定される。これらは唾液腺の炎症や加齢による腺実質の変化,導管系の変化の影響を受けると考えられる。 イオン調節系の検討としてNa,K-ATPase,Na-Ca交換系たん白,H-K-ATPaseの局在について組織化学,免疫組織化学的に検討を行った。Na,K-ATPaseはK-NPPase法とNa,K-ATPase抗体を用いたABC法で検討を行った。Na-Ca交換系はcardiac typeの抗体を用い,H-K-ATPaseと共にABC法にて検討した。Na,K-ATPaseは線条部導管基底側に存在し,H-K-ATPaseとNa-Ca交換たん白は線条部導管細胞から小葉間導管に至る比較的太い導管系に存在することが判明した、腺房細胞には明らかな局在は認められなかった。これらの結果より線条部導管ではNaの再吸収とKの分泌が行われ,さらにHとKの交換及びNaとCaの交換輸送が行われこれらの唾液中のイオン濃度とPHの調節が行われていることが推測された、但しNa-Ca交換系とH-K-ATPaseの細胞内,細胞膜の詳細な局在は今後の検討課題である。
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