研究概要 |
I型のアレルギー反応は、抗原特異的IgEの産生、IgEの肥満細胞上の高親和性IgEレセプター(FcεRI)への結合、FcεRIに結合した抗体が抗原によって架橋され、レセプターが凝集し、結果として肥満細胞から各種のメデイエーターが放出させることによりおこる。したがって肥満細胞上のFcεRIの発現やIgE産生はI型アレルギー反応にとって必須であると考えられる。 我々は通年性アレルギー性鼻炎患者の鼻粘膜肥満細胞上のFcεRIの発現が増強しており、これが血中IgE値と相関していることや、IL-4やIgE自身が肥満細胞上のFcεRIの発現を増強させうることを報告した。さらに通年性アレルギー性鼻炎患者の鼻粘膜肥満細胞はB細胞に対してIgE産生を誘導する能力をもつことを報告した。 今回の研究でIgEが実際に鼻粘膜局所で産生されるかどうか、またその抗原特異性の有無について検討した。さらに鼻粘膜局所で産生されたIgEをアデノイドや扁桃で産生されたIgEと比較し検討した。また鼻粘膜局所でのIgE産生における肥満細胞とT細胞の役割を比較検討した。 まず切除された下鼻甲介をorgan cutureしダニ抗原(Deaf II)で24時間刺激する。そしてIL-4,IL-13,IgE mRNAの発現をRT-PCR法で、IL-4,IL-13,IgEの産生をELISA法にて検討した。その結果、鼻粘膜organ culture biopsy sampleでのIL-4,IL-13,IgEのmRNAの発現、および蛋白の産生はDerf IIの刺激によって増加した。次に鼻粘膜とアデノイドでIgE陽性B細胞の総数に対する抗原特異的IgE陽性B細胞の割合について免疫組織化学にて検討しました。その結果、鼻粘膜ではアデノイドと比較してして抗原特異的IgE陽性B細胞の割合が増加していた。また鼻粘膜肥満細胞を介したIgE産生はT細胞と異なり、MHC非拘束性であった。
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