研究概要 |
I型のアレルギー反応は、抗原特異的IgEの産生、IgEの肥満細胞上の高親和性IgEレセプター(FcεRI)への結合、FcεRIに結合した抗体が抗原によって架橋され、レセプターが凝集し、結果として肥満細胞から各種のメデイエーターが放出されることによりおこる。したがって肥満細胞上のFcεRIの発現やIgE産生はI型アレルギー反応にとって必須であると考えられる。さらに通年性アレルギー性鼻炎患者の鼻粘膜肥満細胞はB細胞にIgE産生を誘導する能力をもち、IgEが鼻粘膜局所で産生することが報告されている(Pawankar,J.Clin.Inv1997Am J Rhinol2000)。また疫学的調査で、DEP(Diesel exhaust particles)などの大気汚染物質はアレルギー性疾患の増加や重症化に関与している可能性が示唆されているか、アレルギー性炎症の慢性化にどのように関与しているか、など今だ明らかでない。 通年性アレルギー性鼻炎患者の鼻粘膜肥満細胞のFcεRIの発現に対するDEPの影響を検討しました:アレルギー性鼻炎患者の鼻粘膜から肥満細胞を単離し、肥満細胞をDerfIIとDEPの存在下に、72時間培養し、肥満細胞のFcεRIの発現をFACSにて検討しました。FcεRIα鎖の発現が増加しました。次に、鼻粘膜肥満細胞のメデイエーター放出に対するDEPの影響を検討しました:鼻粘膜から肥満細胞を単離し、肥満細胞をDerfIIとDEPの存在下に、24時間培養し、ELISA法にて培養上清中のサイトカインを検討しました。DerfIIとDEPの存在下にIL-4,IL-6,IL-13の産生が増加しました。γδT細胞のサイトカイン産生もDerfIIとDEPの存在下にIL-4,IL-6,IL-13の産生が増加しました。また、鼻粘膜局所のIgE産生に対するDEPの影響を検討しました:切除された下鼻甲介をorgan cultureしDerfIIのみ、あるいはDerfIIとDEPで24時間刺激し。RT-PCRとELISA法でIgEの産生を検討しました。DEPの存在下にIgEのmRNAの発現とIgE産生が増加しました。そこで今回の結果から、DEPがアレルギー性鼻炎患者の鼻粘膜肥満細胞の活性化を増加しアレルギー生炎症を増加することが明らかにした。
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