これまで鼻、皮膚、肺の線維芽細胞は、IL-4やIL-13で刺激するとeotaxinを産生することが報告されている。また、これら線維芽細胞をIL-4+TNF-α、IL-13+TNF-αで刺激すると線維芽細胞からのeotaxin産生は相乗的に増加すると報告されている。今回我々の実験からLipopolysacchride(LPS)刺激でも少量のeotaxinが鼻と皮膚の線維芽細胞から産生されることが解った。また、鼻と皮膚の線維芽細胞をLPS+IL-4で刺激するとeotaxinの産生が相乗的に増加することが解った。その相乗効果は、LPS+IL-4の刺激で時間依存的、量依存的に認められた。また、その相乗効果は、LPS+IL-13の刺激では認められず、肺の線維芽細胞では認められなかった。以上から、体表の皮膚や気道の入り口に位置する鼻腔の線維芽細胞は特殊で、LPSに直接反応することが解っているが、この特殊性に加え、IL-4が炎症局所に発現すると、線維芽細胞から大量に好酸球遊走因子が産生され、好酸球が炎症局所に浸潤する可能性が示唆される。つまり、アトピー性皮膚炎や慢性副鼻腔炎に伴う鼻茸に好酸球浸潤が著明に認められる理由の一部はこの部位の線維芽細胞の特殊性とIL-4の発現が重要な働きをしている可能性がある。さらにTGF-βは、LPS+IL-4により鼻と皮膚の線維芽細胞から相乗的に産生されたeotaxin産生をさらに増強する作用を持っていることが判明した。
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