研究課題/領域番号 |
11671713
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
|
研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
久保 伸夫 関西医科大学, 医学部, 助教授 (70186435)
|
研究分担者 |
池田 浩己 関西医科大学, 医学部, 助手 (90288803)
南 豊彦 関西医科大学, 医学部, 助手 (10239311)
中村 晶彦 関西医科大学, 医学部, 講師 (90180356)
吉永 和仁 関西医科大学, 医学部, 助手 (20309256)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
キーワード | 一酸化窒素 / 二酸化窒素 / 室内汚染 / 呼気NO |
研究概要 |
一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO2)を含む窒素酸化物(NOx)は化石燃料やバイオマスの燃焼により生じ、特に後者は自動車から排気されるため近年急増し、呼吸器疾患との関連から重要視されている大気環境汚染物質である。一方、換気の十分に行われていない室内におけるガス調理や喫煙では、屋外を遥かに上回る濃度に達することが知られており、人体への影響を考慮するなら一日の大半を過ごす室内でのNOx曝露の方がより重要とも考えられる。また、NOに関してはヒトの呼気からも大気の数十倍の濃度が排気されており、その大半は鼻副鼻腔粘膜から産生され、喫煙者や慢性副鼻腔炎患者で減少し、気管支喘息患者で増加することが報告され、呼気NOは気道炎症の指標とも考えられている。我々は上気道病変における呼気NOの変化を検討する過程で、室内環境中のNOが呼気NO測定に大きく影響するに気づき、環境内NOが高ければ、呼気NOは環境内NOを下回り、NOを排気せず、逆に吸気している状況(NO filter)が室内では日常的に起こっていると考えられた。特に夏期のクーラー使用時には換気がおこなわれず、調理や喫煙で室内NOは上昇することが予想され、このような状況下での室内環境中のNOおよびNO2さらに呼気NO濃度の経時的変化を測定した。その結果、室内NOx濃度は、化石燃料であるガス燃焼ではNOが、バイオマスである喫煙ではNO2がそれぞれ優位に増加した。またその濃度は容易に環境基準値を上回った。呼気NOは、室内NO濃度が4-12ppbの範囲では一定しているが、12ppbを越えると次第に増加し、20ppb以上では、室内濃度を下回り、NOを吸気していることが明らかになった。 今回の検討では、室内窒素酸化物汚染の重要性と換気の重要性が示唆されると同時に、呼気NO測定の技術的問題点としての環境内NOの重要性、さらに、気道におけるNO産生と吸収の動態についても、興味深いデータが得られた。
|