研究概要 |
山川が発表したメニエール病の患者の内リンパ嚢に、多数の炎症細胞を見ることができる。この事実よりメニエール病の病態に炎症反応が関与ていると考えられる。そこで、このことをより明確にするためにラットの内リンパ嚢よりマクロファージを採取し、3日間培養し培養液中のIL-1β,TNF-α,IL-4およびIL-6を測定した。採取できたマクロファージの個数は、一培養液中15個であった。PCR法にて培養液中に上記サイトカインが存在するかを検討したが、存在を示す明確な事実はなかった。そこで、マクロファージの数を増やし同じ実験を行った。n=20,n=25の時も存在を示す結果は得られなかった。次ぎにアナフィラトキシン(C3a, C5a)でこのマクロファージを刺激した時、これらのサイトカインが出現するかを検討した。今回、アナフィラトキシンを頸動脈より注入した時、内リンパ嚢内のマクロファージの数は増加していた。この事実は、アナフィラトキシンが、マクロファージに何らかの刺激を与え、誘導した可能性が強い。このような理由にてアナフィラトキシンを使用し、同じくPCR法にて検討したが、上記のサイトカインを検出することはできなかった。文献的にみて、マクロファージがこれらのサイトカインと関係あることは事実であり、これらを検出できなかったことは、マクロファージの数的な問題か、内リンパ嚢のものの特質かあるいは技術的に問題があるのか不明であり更に検討が必要であると考える。
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