研究課題/領域番号 |
11671716
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
中島 格 久留米大学, 医学部, 教授 (70117183)
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研究分担者 |
梅野 博仁 久留米大学, 医学部, 講師 (40203583)
日比 正史 久留米大学, 医学部, 講師 (40173190)
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キーワード | 喉頭 / 小児 / 声門上部 / 声門下部 / total development score / 喉頭腺 / 局所生体防御能 / 発達 |
研究概要 |
われわれは、ヒトの喉頭における局所生体防御免疫能が、上気道疾患とくに喉頭各部位での炎症性疾患や喉頭の腫瘍の発生・増殖に与える影響に注目してきた。とくにヒトの成人と小児で喉頭炎での病態が大きく異なる声門上部および声門下部の粘膜内腺組織分布に焦点をあて、局所免疫現象の上で重要な役割を担う喉頭各部位での喉頭腺発現の精密な検討だけでなく、その機能の変化を検討してきた。 昨年までの研究で生後1年以内に死亡した小児の剖検時に採取された喉頭を対象に検討し、対象児の死亡時年齢に在胎月数を加えたtotal development score(TDS)が、小児の実質的成長度の指標に有効であることを報告した。特に小児喉頭の声門下(輪状軟骨レベル)の内腔最大面積(maximum airway)、声門下粘膜さらには粘膜部分を除いた声門下有効面積(available airway)が、生後発達とともに増加し、喉頭が気道としての安定化していくことを報告した。 本年度の研究では、さらに小児喉頭の声門上部にも検索対象を広げて、声門下部と声門上部の粘膜内腺組織の分布密度を画像解析装置によって測定した。粘膜内の腺組織の分布は、喉頭内腔を覆う喉頭分泌液を産生し、その中に含まれる分泌蛋白が局所免疫防御能に関与していることが判明している。その結果、小児喉頭の声門上部・声門下部の腺組織は生後のTDSの増加とともに着実に増えていくことが判明した。またこれらの変化は生後の気管内挿管の有無に影響されていなかった。以上の研究から、小児喉頭では加齢に伴って気道としての安定性が増すと共に、喉頭内腔面にそった粘膜の局所生体防御能も増していくことが示唆された。
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