研究課題/領域番号 |
11671717
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
森 一功 久留米大学, 医学部, 講師 (30230064)
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研究分担者 |
井上 要二郎 久留米大学, 医学部, 講師 (80176453)
坂本 菊男 久留米大学, 医学部, 助手 (70279222)
千々和 圭一 久留米大学, 医学部, 講師 (20227317)
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キーワード | 下咽頭癌 / QOL / レーザー手術 / 放射線治療 / p-53 / Ki-67 / PD-ECGF / VEGF |
研究概要 |
1)下咽頭癌T1T2症例に対して、過去に当院でおこなってきた喉頭保存の下咽頭部分切除(以下、咽頭部切)の治療成績とレーザー減量手術&放射線(以下、レーザー)の治療成績とを対比した。対象は咽頭部切を行った20例と、レーザー&放射線を行った16例である。その結果、3年局所制御率は両群ともにほぼ84%であったが、喉頭保存率は咽頭部切が78%、レーザーが93%で、死因特異的3年生存率は咽頭部切が75%、レーザーが85%で、ともに有意差はないがレーザーの方が良好であった。咽頭部切では3例が原発巣死したが、レーザーでは原発巣死は見られなかった。術後に経口摂取を開始できた症例は、咽頭部切では15例で平均37日後であった。レーザーでは全例、手術翌日から経口摂取を開始できた。以上より、レーザーは、咽頭部切に比べて治療成績の劇的な改善をもたらしはしなかったが、QOLを損なうことはないことがわかった。今後とも症例を選んで本治療法を継続していきたい。 2)下咽頭癌において癌遺伝子のp53、増殖のマーカーであるKi-67、血管増殖因子であるPD-ECGFとVEGFについて検討した。対象は根治治療を行い、局所再発のない下咽頭癌71例(T1:2、T2:25、T3:21、T4:23)である。組織はパラフィン包埋された組織に対し、一次抗体には上述の4種類を用いた。免疫染色にはLSAB kitを使用した。判定はp53は癌細胞の中で陽性細胞が1%以上のものを陽性とし、ki-67、PD-ECGF、VEGFは癌細胞の400個中で陽性細胞が10%以上のものを陽性とした。71症例を無再発48例、遠隔転移死12例、リンパ節死11例にわけて、これらの陽性率を調べた。その結果、これら4種類のマーカーと、転帰との間に有意な関係は認められなかった。今後、リンパ節転移について検討していく予定である。
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