20歳以下の若年者に発症した頭頸部領域悪性腫瘍20症例を対象に、組織型ごとの治療方法とその経過および治療成績を検討した。全症例の組織型の内訳は横紋筋肉腫が5例、乳頭癌が5例、扁平上皮癌が4例、神経芽細胞腫が2例、悪性リンパ腫が2例、ラングハンス細胞組織球腫が1例、平滑筋肉腫が1例であった。全20症例全体の5年累積生存率は82.6パーセントであり、非上皮性腫瘍11例では75.8パーセント、上皮性腫瘍9例では88.9パーセントであった。 下咽頭癌は舌癌を合併することもある。そこで、T1T2の舌扁平上皮癌175例(男性108、女性67、平均59歳)で、全例M0の初回治療例について検討した。その結果は、舌癌T1T2 N0の予防的頸部郭清を行うか否かの決定には、術者のフィロソフィーが大きく左右するため、患者に治療成績をよく説明した後に、患者自身が決定するべきである。頸部郭清の施行の有無に拘わらず、治療後は厳重なフォローアップが必要である。初回治療時の頸部郭清は肩甲舌骨筋上頸部郭清術(Supra-Omohyoid Neck Dissection)で概ね安全である。腫瘍の深部浸潤、脈管内浸潤、筋層浸潤は頸部転移の危険因子である。 下咽頭T1、T2癌に対する局所の治療法としては放射線治療や喉頭を保存する咽頭部分切除術などの保存的治療が行われている。我々は下咽頭T1、T2癌に対して、原発巣をレーザーで減量した後に放射線の根治照射を行っており、さらに症例を増やして検討した。3年局所制御率は88パーセント、3年咽頭保存率は92パーセント、死因特異的3年生存率は92パーセントであり、この治療法の妥当性が示された。
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