研究課題/領域番号 |
11671733
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
桐生 純一 京都大学, 医学研究科, 講師 (80281096)
|
研究分担者 |
高木 均 京都大学, 医学研究科, 講師 (70283596)
柏井 聡 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50194717)
本田 孔士 京都大学, 医学研究科, 教授 (90026930)
万代 道子 京都大学, 医学研究科, 助手 (80263086)
|
キーワード | 白血球 / 網膜 / 糖尿病 |
研究概要 |
糖尿病ラットでは、網膜虚血再灌流後に網膜静脈壁をローリングする白血球や網膜毛細血管血管床に捕捉される白血球の最大値は非糖尿病ラットの場合と比べ73.6%、41.2%と有意に抑制されていた。非糖尿病ラットにおけるグルコース静脈注射による急激な高血糖ではこの抑制効果は見られず、また糖尿病ラットにおいてインスリンによる血糖値の急激な正常化では、その抑制傾向は変化しなかった。炎症性白血球動態の抑制は糖尿病による慢性的な虚血状態によるpreconditioning効果によるものと推測された。糖尿病患者に脳虚血の頻度が高く予後も非糖尿病患者に比べて悪いが、この糖尿病における再灌流障害には白血球による神経障害とは別の機構が働いていると考えられた。 またぶどう膜炎の実験的モデルであるエンドトキシン誘発ぶどう膜炎は、硝子体中への白血球の浸潤、Blood-ocular barrier(眼血液関門)の破綻による蛋白漏出を特徴とする。白血球の浸潤の前段階として血管壁でのローリング、網膜毛細血管床への捕捉があり、これには血管内皮の接着分子P-selectin、ICAM-1等が関与している。アンチトロンビンIIIの投与により、白血球のローリング、硝子体中への浸潤が抑制され、房水中への蛋白漏出も抑制された。さらに虹彩や網膜におけるP-selectinの発現も抑制されていた。これによりぶどう膜炎の治療におけるアンチトロンビンIIIの右効性が示唆された。
|