研究課題/領域番号 |
11671734
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田辺 晶代 京都大学, 医学研究科, 助手 (80243020)
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研究分担者 |
柏井 聡 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50194717)
桐生 純一 京都大学, 医学研究科, 講師 (80281096)
高橋 政代 京都大学, 医学研究科, 助手 (80252443)
本田 孔士 京都大学, 医学研究科, 教授 (90026930)
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キーワード | 遺伝子治療 / 網膜変性モデルマウス / アデノ随伴ウイルス / 網膜色素変性症 / 遺伝子導入 |
研究概要 |
本研究において、遺伝性網膜変性疾患である網膜色素変性症に対する治療法としての遺伝子治療の有効性について、網膜変性モデルマウスを用いて、検討した。遺伝子導入のベクターとしては、ウイルスベクターのなかでも、炎症反応が少なく、持続的な遺伝子発現が期待されるadeno-associated virusを採用した。まず、網膜に対する遺伝子導入効率について、reportor遺伝子であるGFPをくみこんだベクターをもちいて、検討した。GFPの発現部位はベクターの注入経路によって異なり、硝子体注入では網膜神経節細胞、視細胞に、また網膜下注入では、網膜色素上皮細胞、視細胞に発現が認められた.GFPの発現はベクター注入後、2週間以内に発現され、1ヶ月以上その発現は持続した。幼若マウスでは成体に比べ、早期に発現が開始することが認められた。次に、網膜変性マウスの欠損遺伝子であるcGMP PDE gamma subunit遺伝子のwild typeをくみこんだベクターを網膜変性前の幼若マウスの網膜下に注入し、その視細胞変性阻止効果について検討した。注入後、約1ヶ月の時点で、注入部位における視細胞の約5割が変性を免れた。残存する視細胞には、電顕にて、光受容器も、數、形態ともに、比較的良好な状態で保たれていることが確認された。また、導入する遺伝子の種類に関わらず、組み換えadeno-associated virus注入による網膜への障害、炎症は認められなかった。以上より、視細胞変性前に組み換えadeno-associated virusを介して、網膜に欠損遺伝子のwild typeを導入することにより、視細胞の変性を遅延させうろことが示唆された.現在、同一ベクター内に、目的遺伝子とGFP遺伝子を組み込み、目的遺伝子の発現量の変化を、生体内でGFPの蛍光量の変化を観察することによって確認しようという試みを進めている。
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