研究課題/領域番号 |
11671738
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
林 篤志 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20283773)
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研究分担者 |
日下 俊次 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60260387)
大路 正人 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90252650)
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キーワード | 網膜色素上皮 / 眼内かん流液 / 網膜電図 / 網膜毒性 / 網膜接着 / 動物実験 |
研究概要 |
脈絡膜新生血管を伴う難治性黄斑疾患に対して外科的治療法を行う際、黄斑部網膜下の網膜色素上皮欠損が術後視機能に大きく影響する。我々は、外科的治療に伴う網膜色素上皮欠損を抑制するために、可能な限り網膜視細胞と網膜色素上皮細胞(RPE)間の接着を弱め、RPEの物理的障害を抑制するため、ウサギを用いて硝子体手術中に用いる眼内灌流液の組成を変えて意図的網膜剥離を作製し、網膜およびRPEに与える影響を検討した。硝子体腔内を通常のBSS Plus【〇!R】灌流液で20分間灌流した場合、網膜視細胞側にRPEが付着し、RPEに付着した視細胞のcone matrix数は、120±50であったが、Ca^<2+>およびMg^<2+>を含まないBSS Plus【〇!R】で20分間灌流した場合、網膜視細胞側に付着した網膜色素上皮細胞は全く見られず、RPEに付着した視細胞のcone matrix数は33±15であった。またこの灌流液を用いた場合は、意図的網膜剥離作製も容易であった。このCa^<2+>およびMg^<2+>を含まないBSS Plus【〇!R】灌流液の網膜に及ぼす影響を電気生理的に検討した結果、術後1日目に網膜電図のb波が軽度に減弱したが、3日目には対照群との差はなくなった。また、網膜の組織的検討においても明らかな変化は認められなかった。以上の結果より、Ca^<2+>およびMg^<2+>を含まないBSS Plus【〇!R】灌流液は、難治性黄斑疾患などに対する外科的治療法において、意図的網膜剥離を作製するのに有用であることが示された。
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