研究概要 |
網膜虚血-再灌流障害におけるプロスタグランジンの関与を調べるため、ラットを用いて実験を行った。 網膜における酸化ストレスのモデルとして、網膜虚血-再灌流障害モデル、網膜光障害モデルを作成した。Sprague-Dawley ratを用いた。生後8週令、雄、白色を用いた。 1.網膜虚血-再灌流障害モデル 1)光増感剤としてRose Bengalを使用した。 2)前房内に生食水を注入して高眼圧による虚血-再灌流モデルを作成した。 2.網膜光障害モデル ラットを80lux(16時開明環境、8時間暗環境)の元で、2週間飼育し、その後、1800luxの光環境の元、24時間照射し、その後、元の環境に戻した。3時間、1、3、7、14日後に眼球摘出し、種々の実験に使用した。 プロスタグランジンD_2,I_2,F_<2a>,の経時的変化を調べたところ、プロスタグランジンD_2は再灌流早期に視細胞外節に発現した。これは光障害モデルでも同様だった。プロスタグランジンI_2,はいずれの時期でも分布を違いを示さなった。プロスタグランジンF_<2a>では、早期に神経節細胞に出現したが、再灌流の期間が長くなるにつれて、その発現は減少した。これらの結果から、プロスタグランジンD_2は酸化ストレスのよる網膜外層の障害で、視細胞が変性を来すことが昨年度の実験でも示されているが、過酸化脂質の増加に起因すると思われる。その時に変性視細胞外節は網膜色素上皮細胞により貪食されるが、この貪食能に関与していることが示唆された。今後、プロスタグランジンD_2は視細胞や網膜色素上皮細胞の酸化ストレスの制御に関わっていることが考えられるため、培養系の実験を行って行く予定である。
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