研究概要 |
平成11年度、12年度における成果 プロスタグランジンは炎症に関連して産生され、眼科領域では血液眼関門の破壊の原因として、従来から指摘されてきた。しかしわれわれの研究では酸化ストレスに伴い、その細胞組織障害を防御する可能性が示された。マウスとラットに高眼圧モデルを作成し、網膜虚血-再灌流を作成した。ともにチオレドキシンの発現が再灌流後、上昇した。また網膜光障害モデルを作成し、光による網膜の障害を経時的に観察した。プロスタグランジン(PG)にはさまざまな種類があるが、PGの共通の前駆体であるPGH_2の合成に関与するcyclooxygenase(Cox-1,Cox-2)の変化を調べた。Cox-1のみ光照射でシグナルの増加が見られた。光照射による過酸化脂質の増加を確認するため、DNAの酸化ストレスのマーカーとして認識されている8-hydroxy-deoxyguanosine(8-OhdG)の変化を見たところ、視細胞で増加することが確認できた。PGE_2,PGF_<2a>,PGD_2のうち、PGD_2のみ、光照射で視細胞外節にシグナルの増加が確認されたが、他ののPGでは変化は生じなかった。これらの組織障害は酸化ストレスによる脂質過酸化が原因のひとつと考えられている。そこで、この過程で産生される酸素中間体を減少させるn-acetylcysteine(NAC)をラットに投与して、酸化ストレスの軽減されることを確認した。 本年度実験計画 1.培養網膜色素上皮細胞を用いて、酸化ストレスを負荷した際のチオレドキシンの発現量を定量する予定である。 2.また細胞内cAMPの定量を行い、細胞内情報伝達機構の解析を行う予定である。 3.プロスタグランジンの受容体の局在について免疫組織化学的方法で研究予定である。
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