研究概要 |
1.実験方法 Sprague-Dawley(SD)系白色ラット(雄,6週齢)を用いて、虚血-再灌流による高眼圧モデルでストレスを負荷し網膜浮腫を作成した。前房内に27G針を刺入し、150cm水柱圧で生理的食塩液を灌流することで虚血状態とした。1時間後に加圧を中止して、血流を再開通させた。網膜虚血の開始と解除は、散瞳下で検眼鏡的に網膜動脈の拍動消失および再開を確認して行った。経時的に実験群を分類し眼球を摘出、組織は未固定で凍結切片を作成し、アクアポリン-1,2,4に対する抗体を用いて免疫組織化学的に検討した(蛍光抗体法)。予備実験の結果から網膜血流再開通後、経過時間によりそれぞれ直後(0時間)、6時間、12時間、24時間、3日間、7日間、14日間経過後の各群に分類した。なおストレス負荷を加えていないものを正常とし、コントロール群とした(合計8群)。 2.結果及び結論 アクアポリン-1,2は正常(コントロール群)で網膜色素上皮細胞層にわずかに存在していた。ストレス負荷終了直後(0時間群)はコントロール群と比して変化は認められなかったが、6時間後から反応が増強し、24時間で強陽性となった。またその反応は1週間後、2週間後となるに従い、経過時間とともに減弱していた。また網膜浮腫も同様の変化を示した。 アクアポリン-4は正常(コントロール群)では、ほとんど染色されることがなかった。6時間後から反応が増強し、24時間で強陽性となった。またその反応は1週間後、2週間後となるに従い経過時間とともに減弱しており、上記と同様の変化を認めた。また6時間ごから双極細胞が染色されており、これはMuller細胞と思われた。 現在までのところ、これらの実験結果から、網膜浮腫や網膜下液などの神経網膜の障害は網膜組織内におけるアクアポリンの発現が関与している可能性が示唆された。
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