研究概要 |
本年度は角膜上皮細胞の移動能、接着能、増殖能に対する炎症性サイトカインの作用について検討を行った。 1)角膜上皮細胞の移動能に対するサイトカインの影響。方法:家兎角膜ブロックをCO_2インキュベーター内で組織培養し,培養液中に種々の濃度のIL-4,TNF-αを添加して,24時間後に固定,切片作成,染色し,切断面への上皮の伸展を顕微鏡下で計測した。結果:これらのサイトカインは角膜上皮細胞の移動能に影響を与えなかった。 2)角膜上皮細胞の接着能へのサイトカインの影響。方法:家兎角膜上皮細胞を培養し,培養液中に種々の濃度のIL-4,TNF-αを加えた。24時間後,種々の細胞外マトリックスでコーティングした96穴プレート中に1000個の細胞を播種して,45分後に固定,染色し光学顕微鏡にて観察し,接着細胞数を計測した。結果:これらのサイトカインは角膜上皮細胞の接着能を亢進させた。 3)角膜上皮細胞の増殖能へのサイトカインの影響。方法:96穴プレート中で家兎角膜上皮細胞を培養し,培養液中に種々の濃度のサイトカインを加えた。MTT法を用いてプレート内のミトコンドリア還元能を計測して細胞数を推定し、角膜上皮細胞DNAへのBrdUの取り込みをELISA法により検出することによって角膜上皮細胞のDNA合成の変化を検討した。結果:これらのサイトカインは濃度依存的に角膜上皮細胞の増殖能を亢進させた 4)角膜上皮細胞のケモカイン産生能。方法:角膜上皮細胞を無血清培養液中で培養する。培養液中に種々の濃度のIL-4,TNF-αを添加し,ELISA法を用いて,培養上清中のIL-8、RANTES、eotaxinの濃度を測定した。また,PCR法を用いて,mRNA量の変化を測定した。結果:角膜上皮細胞はこれらのサイトカインの刺激でケモカインを産生しなかった。
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