研究課題/領域番号 |
11671745
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
北岡 隆 長崎大学, 医学部, 助教授 (80234235)
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研究分担者 |
雨宮 次生 長崎大学, 医学部, 教授 (60026862)
津田 恭央 長崎大学, 医学部・附属病院, 助手 (30253660)
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キーワード | アクアポリン / 網膜ミュラー細胞 / 免疫組織化学 / レーザー光凝固 / 網膜浮腫 / 糖尿病網膜症 |
研究概要 |
アクアポリン(AQP)は水のチャネル蛋白で、広くホ乳類、植物、微生物に見つかっており、細胞膜に存在している。AQPの存在により、水はすばやく細胞膜を越え、移動することができる。 AQPは様々な生理学的な現象に関わっていると推測されているが、病的状態においても重要な役割を担っていると考えられている。われわれの実験ではAQP4に対する抗体を用い、光学顕微鏡レベルの免疫組織化学で網膜ミュラー細胞の細胞膜における局在を証明することができた。このことは生理的状態でミュラー細胞のAQPが、網膜の恒常性維持になんらかの役割を担っていると考えられる。一方、糖尿病網膜症における黄斑浮腫は中心視力の低下をきたす原因の一つであるが、ミュラー細胞の細胞膜に見つかっているAQOP4が黄斑部浮腫の発生、消退に関与しているであろう事は想像に難くない。 網膜浮腫の実験モデルは確立してはいないが、ラット網膜に過剰なレーザー光凝固を行うことで、網膜浮腫を作成した。AQPに対する抗体を使い、レーザーにより生じた網膜浮腫周囲にはレーザー施行1日目からAQP4の発現の増強が観察できた。レーザー施行後3日では、さらにAQP4の発現が増強した。このことは、レーザーにより誘発された網膜浮腫の吸収のためにAQP4の発現が誘導された可能性が高く、糖尿病網膜症などの網膜浮腫においてもその吸収には網膜ミュラー細胞のAQP4が関係していることが示唆された。
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