研究概要 |
熱ショック蛋白によるぶどう膜炎のリンパ球分布の変動 べーチェット病のモデルと考えられるヒト熱ショック蛋白(HSP)-60によって免疫したルイスラットのリンパ細胞をリンパ節や脾臓リンパ節や脾臓から採取し,免疫直後から発症そして治癒に至る経時的な変化を観察した。いわゆるヘルパーT細胞(Th)のTh1,Th2というサイトカイン産生能からみたサブグループの分類を細胞内のサイトカイン抽出法の技術を応用して行い,モノクローナル抗体を用いたフローサイトメトリーの方法によって解析した。 その結果,免疫直後はTh2が優位を占めたが,ぶどう膜炎が発症する3日前の免疫7日後の付近で,Th1がTh2を上回るようになり,その後発症20日まではTh1が優位を示した。このぶどう膜炎モデルは自然治癒する病型であるが,発症24日付近で再びTh1-Th2が均衡に達し,その後Th2が優位を示す発症前の状態に戻るという経過が見られた。 これらから,HSP-60によるぶどう膜炎の発症にはTh1タイプのヘルパーT細胞が関与し,インターフェロンγやインターロイキン-2などのサイトカインが発症に大きく影響していると考えられた。また,消炎,治癒過程にはTh2が関与していることから,治療にはこれらのサイトカイン産生を促す方法を用いる可能性が示唆された。
|