研究概要 |
熱ショック蛋白作動性薬物の熱ショック蛋白実験的ぶどう膜炎に対する作用 HSP-60促進性物質であるテプレノンの熱ショック蛋白実験的ぶどう膜炎に対する,治療的効果の作用機序の解析を行った。ラットをHSP-60および完全フロイントアジュバントとによって免役し,ぶどう膜炎発症までの経過観察を行った。発症したラットから14日目,17日目,21日目,24日目,28日目と脾臓を摘出し,そこからCD4+リンパ球,いわゆるヘルパーT細胞(Th)を分離した。このThに対して,無治療の対照とテプレノン投与の治療群とをin vitroにおけるHSP-60によるリンパ球幼若化反応を行って,比較した。その結果,14日目のThはテプレノンによってその幼若化が有意に抑制されていた。この抑制作用は17日目,21日目には見られたが,24日目以降には見られなかった。この結果から熱ショック蛋白によるラットぶどう膜炎では,発症後の自然治癒に向かう過程のいわゆるpost-recovery suppressor T cellという時期のリンパ球に対し,テプレノンの抑制作用が強く見られることがわかった。このことはテプレノンのぶどう膜炎,特にベーチェット病の治療を考える上で重要な知見と考えられた。現在,テプレノンをHSP-60免疫前投与によって抑制できるか,あるいは発症後の投与によって軽症化ないし抑制できるかどうか検討をおこなっている。
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