研究課題/領域番号 |
11671757
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
眼科学
|
研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
渡邊 卓 杏林大学, 医学部, 教授 (00191768)
|
研究分担者 |
平形 明人 杏林大学, 医学部, 助教授 (80173219)
永松 信哉 杏林大学, 医学部, 教授 (80231489)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2001
|
キーワード | ラット / 網膜 / 糖輸送担体 / GLUT1 / GLUT2 / GLUT3 / グルコース代謝 |
研究概要 |
1.主要な研究成果:【発生期網膜におけるGLUT1の発現】胎生初期の網膜前駆細胞はGLUT1を高レベルで発現するが、発生の進行に伴いその発現レベルは低下、生後約2週でほぼ成熟網膜におけると同様のレベルに達する。一方、発生の初期においてGLUT1は色素上皮細胞の細胞頂部、基底部のみならず側面にも強く発現がみられるが、発生の進行に伴い、細胞側面におけるGLUT1の発現レベルは低下し、逆に尖側、基底側での発現レベルの増加がみられ、生後2週間程度で成体とほぼ同様の発現パターンに達する。網膜血管に関しては、生直後においては、網膜中心部以外でのGLUT1は陰性であるが、網膜血管の末梢方向への進展、またその成熟に伴って網膜中心部より末梢方向に向けて網膜血管におけるGLUT1発現レベルは高まる傾向を示し、生後1〜2週で成体パターンに達する。【GLUT分子の発現を再現可能なin vitro実験系の確立】我々の開発した発生期網膜細胞のpellet培養中において、GLUT2は外限界膜に相当する部位に一致し、GLUT3は内網状層相当の部位に一致して、即ちそれらのin vivoにおける局在をほぼ再現するかたちでGLUT分子の発現が観察されることを確認、この培養系がGLUT研究の良いモデルとなりうる可能性を示した。一方、単層培養された網膜細胞では、少なくともGLUT3陽性細胞は確認されたが、GLUT2陽性細胞の確認は困難であった。 2.研究成果に関する考察:本研究で得られた所見とともに、これまでに当研究グループで得られた所見に基づき、成体のみならず発生期網膜においても、GLUT各アイソフォームの発現は巧妙に制御されており、その結果、主要エネルギーたるグルコースの安定的な供給が確保され、それによって視機能という生物に不可欠な機能が確保されているという可能性が強く示唆された。本研究の成果は、グルコース代謝異常に関連してみられる視覚障害の病態生理、治療法を考える上での基礎となるものと考える。
|