研究課題/領域番号 |
11671758
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
関 保 昭和大学, 医学部, 講師 (10245855)
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研究分担者 |
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
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キーワード | Tumor Necrosis Factor-α / Apoptosis / KO mouse / Retina / Ischemia / PACAP / Neurotrophic Factor |
研究概要 |
1.網膜の遅発性神経細胞死を誘発する心停止モデルマウスをもちいて、遅発性神経細胞死の実体を明らかにする。マウスの心臓を大動脈のクリッピングを行い5分間完全に停止する。5分から15分後に再環流し、眼循環虚血状態を作成した。光学顕微鏡的および電子顕微鏡的観察において上記モデルを用いて、虚血による網膜神経細胞死を確認した。虚血再環流後12時間、24時間、48時間、72時間、168時間に眼球を摘出し、光顕及び電顕的観察をした。網膜神経細胞変性をは24時間から48時間にかけて最も多く認めた。電顕的にはアポトーシスを確認した。さらに光顕的にはTUNEL法を用いて確認した。以上よりわれわれの心停止モデル動物において、虚血による網膜神経細胞死を確認できた。 2.TNFαの遺伝子欠損マウスを用いて虚血を行い、この分子の生体内特に網膜における機能を明らかにする。われわれは上記と同じ方法を用いてTNFα遺伝子欠損マウスの心停止モデルを作成した。1.と同様の実験を行い、TNFαの遺伝子欠損マウスにおける網膜神経細胞死が減少していることを確認した。これよりTNFαが網膜神経細胞死に何らかの関連があることが証明された。 3.一方PACAPは細胞死の防御作用があるとわれわれは報告してきた。網膜内のPACAPおよびPACAP受容体の分布及び局在を免疫組織学的に検索した。PACAPは網膜内のアマクリン細胞と水平細胞に存在し、PACAP受容体は神経節細胞とアマクリン細胞に存在することを示した。さらにPACAP受容体mRNAの遺伝子発現を調べるためin situ hybridizationおよびin situ RT-PCRを用いその存在を神経節細胞とアマクリン細胞に確認した。これによりPACAPが網膜に存在することにより虚血やTNF-αによる網膜神経細胞死の抑制にPACAPが重要な役目を果たす可能性が示唆された。
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