研究概要 |
1.N-acetylglucosaminyl sulfotransferase(GlcNAc-ST)については、昨年度ヒヨコ角膜からの精製が終わっていたが、アミノ酸配列の決定にまでは至らなかった。そこで今年度改めて、ヒヨコ角膜からの精製を行い、精製標品について部分アミノ酸配列を決定した。今後、このアミノ酸配列を基に常法に従い、ヒヨコ角膜からそのcDNAをクローニングする予定である。 2.ケラタン硫酸の合成に関与する糖転移酵素の一つであるβ-galactosyltransferase(Gal-T)については、5,924眼のヒヨコ角膜からの精製を試みたが、様々のion exchanger columnやaffinity columnに全く結合しなかった。さらにこの酵素タンパク質は不安定なのか、精製段階が進むにつれて急速にその活性が低下して行った。部分精製標品を使ってその性質を調べるとともに、SDS-ゲル電気泳動を行った。本酵素の至適pHは7.0であり、反応において非還元末端のGlcNAc残基だけではなく、その隣りのGal残基も認識していると考えられる。最終標品のSDS-ゲル電気泳動ではたくさんのバンドが検出されたが、その内のいくつかのバンド(40kDa付近)について部分アミノ酸配列を決定するとともに、これまでヒヨコの他の組織で報告されているGal-Tのアミノ酸配列と比較しながら、バンドを選び出し、そのアミノ酸配列を基にcDNAをクローニングしたいと考えている。 3.コンドロイチン硫酸の合成に関与する転移酵素の一つであるβ-glucuronyltransferase(GlcA-T)については、5,992眼のヒヨコ角膜から精製を試みた。本酵素も上記のGal-T同様様々のion exchanger columnやaffinity columnに結合しなかったが、唯一UDP-GlcA-agarose(Galの共存下)に結合した。2度UDP-GlcA-agarose chromatographyをくり返し、最終的に11.0%の収量で388倍精製された。至適pHは7.0であり、GalNAcを非還元末端にもつchondro-oligosaccharideは受容体基質となるが、GalNAc(20mM)自体は本酵素の反応を強く阻害した。SDS-ゲル電気泳動ではいくつかのバンドが得られたが、この内41kDa付近のバンドについて部分アミノ酸配列を決定する予定である。
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