IL-12とIL-18を同時に点眼することによって涙腺の慢性炎症症状が出現するか検討したが、一部のマウスに炎症細胞の浸潤が確認されたのみで、点眼マウスでは炎症は弱くアポトーシスもおこしておらず、点眼による慢性の炎症症状をおこすシェーグレン症候群のモデルマウスやドライアイ、GVHDのモデルマウスは作成できなかった。点眼マウスでの血中サイトカインの計測を行うと、IL-12は点眼開始後、持続的に上昇していたが、IL-18は点眼後6日目より上昇し、腹腔内一回投与マウスと同じ血中サイトカインの動きをしめした。血中サイトカインの動きは同じだが、組織の変化は同じようにおこらないという点では興味深いと考えている。以後の実験は全て、腹腔内投与マウスを用いて急性モデルとして実験を行った。 腹腔内投与による急性モデルのマウスの涙腺組織を、Tunel法にて染色しアポトーシスを観察した。IL-12とIL-18を初日のみに一回のみ腹腔内投与すると、投与翌日より涙腺組織の腺上皮細胞が全てアポトーシスをおこし、そのうちの少数の腺上皮細胞は3日目よりネクローシスをおこした。さらに観測をおこなうと2週間位より回復し正常腺組織に戻ることがわかった。この時のマウス血中のサイトカインの量をELISA法にて計測した。IFN-γは2〜3日目にピーク値をしめし、NOは1〜2日目にピークを、IL-1、IL-6、IL-10、TNF-αの血中濃度に変化は認められなかった。DNA-ladderの結果より、IL-12とIL-18を初日に一回のみ腹腔内投与した時に生じる涙腺のアポトーシスは、Fas-Fas Rによる系ではなく、NOを介したアポトーシスと考えられる。
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