研究課題/領域番号 |
11671767
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
小児外科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北野 良博 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30261994)
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研究分担者 |
上妻 志郎 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (10272569)
橋都 浩平 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (50180815)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | 横隔膜ヘルニア / 胎児手術 / サーファクタント / 気管閉塞 |
研究概要 |
ラット横隔膜ヘルニアモデルを用いて、横隔膜ヘルニアの存在がいつ頃から胎児肺の成長に影響を及ぼすのか検討を加えた。妊娠9日にラット母獣にナイトロフェン100mgを投与し、胎仔に左横隔膜ヘルニアを作成した。胎生18、19、20、21.5日に胎児肺の乾湿重量を測定し、左横隔膜亜全欠損(CDH)群と横隔膜に異常を認めなかった(Control)群の間で比較した。その結果、胎生18、19日には2群間で肺の乾湿重量に差はなかった。胎生20日以降では、CDH群の肺がControl群の肺に比較して小さかったが、統計学的有意差は20日では湿重量だけに、21.5日では乾湿重量ともに認められた。 次に低形成肺の治療として注目されている胎児気管閉塞術がサーファクタントや2型肺胞上皮細胞に与える影響について検討した。妊娠19日にラット胎児に気管閉塞術を施行し、妊娠21.5日に全身麻酔下に帝王切開して胎児を回収した。胎児肺の2型肺胞上皮細胞とサーファクタントを免疫組織染色、Western blotting、電子顕微鏡を使用して比較検討した。その結果、若干の2型肺胞上皮細胞数の減少を認めたものの、サーファクタントプロテインの蛋白レベルでの減少はなく、2型肺胞上皮細胞そのものには形態学的にも電子顕微鏡で変化はなかった。 胎生初期から横隔膜欠損があっても、実際に胎児肺の成長が悪影響を受ける時期は管状期以降であり、肺病変が胎児治療により可逆性である可能性が示された。また、胎児気管閉塞によって、若干の2型肺胞上皮細胞数の減少を認めたものの、サーファクタントプロテインの蛋白レベルでの減少はなく、2型肺胞上皮細胞そのものには形態学的にも変化はなかった。本術式の施行時期や期間を調整すれば、2型肺胞上皮細胞やサーファクタントに与える影響を最小限に留めつつ、胎児肺の成長を促進させることが可能であると推察される。
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