研究概要 |
FTY720を用い移植片の生着が困難な小腸移植におけるグラフト浸潤細胞に着目し、移植片局所免疫応答の解析をリンパ球分布動態から検討した実験である。 同種異系雄性ラット間,(DA→LEW)の移植片を摘出し、パイエル板、腸間膜リンパ節、小腸上皮、粘膜固有層からリンパ球を採取した後に表面抗原を標識しフローサイトメトリーで解析した。FTY720投与群(1mg/kg/dayx 5days)では拒絶例と比し、組織学的に拒絶反応を認めず、血中リンパ球は低値であった。またリンパ球サブセツトは拒絶例に比し(1)IEL、LPLでCD4+細胞が高値であった(2)PP、MLN、IEL、LPLでCD8+細胞が低値であった(3)PP、LPLでIL-2レセプターが低値であった(4)B細胞はPPで高値、MLN、LPLで低値であった、という特徴が明らかになった。 すなわちFTY720は細胞障害性リンパ球の浸潤抑制、IL-2レセプターの発現率の低下が免疫抑制の主体であることを示唆するものと考えられた。
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