研究概要 |
現在までに行なわれた実験は,I.生後7日目SD系ラットを用い,全身麻酔下に空腸および回腸を切除し,酵素分解法により各部位の粘膜幹細胞を抽出した.その具体的な方法を以下に記す.1)それぞれの小腸を3mmの長さに切離し,Hanks buffered salt solutionに入れ,さらに細分節化する.2)これら細分節化した腸管をdispase type Iとcollagenaseで室温で分解する.3)その後,沈殿上水より粘膜幹細胞を得る.今回はこの操作を小腸全体で行い,粘膜幹細胞を得た. II.生後3週齢レシピエントラットの上行結腸の有茎分節を作成し,顕微鏡下に結腸を腸間膜反対側で開き,その結腸粘膜をすべて除去した.その後,その結腸をもとのように縫合し,無粘膜結腸内腔に抽出した粘膜幹細胞を移植した.この有茎分節はそのまま腹腔内へ納め,腸管の連続性を保つために回盲部と横行結腸を縫合した.III.術後14日目に幹細胞の生着を確認するため開腹し,結腸粘膜の顕微鏡標本を作成中である. 今後小腸幹細胞の生着が確認できれば,小腸粘膜幹細胞移植結腸を小腸へ間置吻合し,間置吻合後14日目に各移植腸管の酵素活性および吸収試験を免疫組織抗体法およびアイソトープを用いて測定する予定である.
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