研究概要 |
この1年間に生後7日目ラットの小腸粘膜幹細胞を抽出する方法を確立した.Dispaseとcollagenase溶液で酵素学的消化を利用して小腸上皮粘膜幹細胞をpurity90%で抽出することが可能となった.得られた粘膜幹細胞のViabilityをTrypan Blueで調べると,95%以上の粘膜幹細胞が生存していた.さらに粘膜幹細胞を用いて細胞培養を行った.培養24時間後,粘膜幹細胞がaggregatesとして90%生存していた.培養3日目になると,多くの粘膜幹細胞が単層細胞になった.以上より,この小腸粘膜幹細胞を抽出する方法は有効であると考えられた. 抽出された小腸粘膜幹細胞を生体内に移植して,生着可能かどうかを確認するために,成熟ラットの背部皮下への小腸粘膜幹細胞移植を試みた.しかし,移植後3週間目には,ラット背部皮下組織の粘膜幹細胞は消失した.そこで腎臓被膜下に移植することに変更した.移植後4週間目に腎臓被膜組織を調べると,肉眼的に移植した小腸粘膜幹細胞による小さい嚢胞形成が認められた.今後,これらの組織的検査を行い,小腸粘膜幹細胞の生着が確認できれば,粘膜除却結腸にこの幹細胞を移植する予定である.
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