研究概要 |
【目的】 神経芽腫(NB)におけるアポトーシス発生機構を検討した.【方法】 NB42例のパラフィン切片に抗ヒトFas,Fasリガンド(FasL),プロカスパーゼ3モノクローナル抗体を用いた免疫ペルオキシダーゼ染色を施行した。また,10例のNB凍結材料を用いウエスタンブロット解析とDEVD水解活性測定を行った。【結果】 42症例の神経芽細胞腫原発巣の組織についてFas,Fas ligand(FasL)およびcaspase3の発現様式を調べた。Fas免疫発現は29例中4例(14%)にのみ認められたが,FasL/プロカスパーゼ3は42例中30/29例(約70%)に強く発現し,また,プロカスパーゼ3の発現強度は臨床病理学的予後因子と有意に相関していた。ウエスタンブロットでもFasバンドは10例全例でみられず,一方,FasLは全例で,プロカスパーゼ3は5例(4例:予後良好型,1例:予後不良型)で特異的バンドが確認された。さらに,DEVD水解カスパーゼ3様活性は予後良好型腫瘍で高値を示した。【結語】 NBはFasLを高発現するがFas発現に乏しく,この腫瘍におけるアポトーシスはなんらかのFas非依存的経路を介したカズパーゼ3活性化に基づくと考えられた。
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